2年目のバイオマス発電所が進化していた!

2016/5/20(金)に見学した岡山県真庭市バイオマス発電所を、3/20(月)に再び見学してきた。前回の見学から10ヶ月、外見は変わらないが運用面でバイオマス発電所のエコシステムが進化していた。

 

前回のバイオマス発電所の記事はこちらです。

jumbokun.hatenablog.com

前回からの変更点を見てみると:

1)バイオマス集積基地(第2工場)に屋根付き乾燥場が建設中だった。

 

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前回見学した時は、上の写真のように湿った間伐材や樹皮は天日干しされていたが、雨が降ると、巨大なブルーシートを掛けて雨に濡れないようにしていた。その作業が結構な重労働になっており、特に梅雨時は頻繁にブルーシート掛けの作業が発生していた。

 そこでその作業をなくすため、巨大な屋根付き乾燥場が3月末の完成予定で建設中だった。これだけ思い切った投資ができるのも、バイオマス発電の運用がうまく廻っている証拠だ。

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 現在は、ここに集積された木質燃料が他のバイオマス発電所にも外販されているとのこと。外販先は、鳥取、赤穂、奈良、三重にあるバイオマス発電所

 もちろん、売る方の真庭市は儲かるわけだが、買う方の他のバイオマス発電所は、真庭のバイオマス発電所より高い値段で買うわけだから(輸送費が上乗せされるので)、採算を取るのは難しくなるわけだ。

 つまり、木質燃料の供給目処が立たないのにバイオマス発電所を作っても(現在、全国20箇所で1万kW級のバイオマス発電所が建設予定)採算が合わない可能性が高い。やはり、地産地消で木質燃料が供給できる場所でしかバイオマス発電所は運営できないわけだ。逆にこれが地域の強みになる。真庭市はそれを認識してやっている。

 

2)2年目のバイオマス発電所の実績

 

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2016/5に見学した時に確認した1年目の実績と今回見学した時に確認した2年目の実績を比較してみる。

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2年目の粗利が約2倍に増えている。

それぞれのパラメータの変化を見ていくと:

 1)売電量:見学当日も発電量は1万kWhを出力していた。

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   発電量の内10%は自家用に使用するので、売電量は9,000kWhになる。

 2)2016年の年間稼働率が97%だった。やはりメンテナンスで数日間は止めなくては

   ならないので稼働率100%は難しいが、設立当初の予測が70%だったので、初年

   度から100点満点だと思う。

 3)FIT買取単価が40円/kWに上がっている。これは初年度は全量を中国電力

   売電していたのを、今回は複数の新電力会社(PPS)に売電している。中国電力

   他に、大阪ガス東京ガス、それに概説の真庭バイオエネルギー(株)を新電力

   登録して売電することで、買取価格を競争させて値上げに成功している。

   また真庭バイオエネルギーは真庭市役所及び多目的ホールへの電力供給を開始

   しており、電力の”地産地消”が実現している。

 

今回、再認識したのは、やはり”地産地消”が成立しなければ、バイオマス発電所は運営できない、ということだ。

今までは製紙用に販売していたヒノキのチップが、IT化による紙需要の減少で売れなくなってきている。真庭市では売れなくなった木質チップを燃料として生かすことで、イノベーションの波に乗り遅れないように頑張っている。

他の地方も、まず地域の強みを再認識して、”地産地消”でアピールしてみたらどうだろう。

 

では、では。